作編曲コラボをしてみた Part1 〜コード進行編〜

前回の記事: ボーマス35に向けて作編曲コラボをしてみた Part0

というわけで ナツノトリコラボ の記事です。

ちょっと忙しくて時間が空いてしまいました。
Part3くらいまではしたいんですが〆切の足音が近づいてくる…

ほのづきさんも記事を書いてくれました

ボーマス35に向けて作曲と編曲を入れ替えて合作する – ほのづきのほ

ボーマス35でケロさんとやる合同企画「ナツノトリ」について。作曲と編曲の分離を意識できてナイスです、という話し。

やろうと思えば自分の得意なアレンジのメソッドにいくらでも引きつけられます。
となってくると「ほとんど編曲者の作品なのでは?」という気もしてきますが、ただ一点、
基本的に相手の意図を汲んでそれを伸ばす方向で
というルールがあります。編曲に関する縛りはこれだけです。
とってもあっさりした内容で、ケロさんと話してたときもサラっと決まったルールだったんですが、結構 これがジワジワときいてきてます。
特に相手の作風を知っていればいるほど、相手の意図(に見えるもの)が細かいところまで分かってくるので、このルールと編曲の自由度との間で悩むことになります。

うーん、まさにその通り。まさにこれが編曲の難しさであり、しかし楽しさであります。
0 から 0.1 を産む楽しさと、0.1 を 1 にする楽しさはまだ違うんですよね。僕はそういうのも大好きです。漫画のアシスタントとか。

ほのづきさんの原曲 (メロディだけ・サビの一部だけ)

本邦初公開、伴奏は抜きにしてます。

爽やかテイストですね!良いぞ良いぞ。
ほのづきさんから渡された曲のイメージに関するテキストにも書いてあったのですが、初音ミクsweet3人の声から 夏空に3羽の鳥が羽ばたいてるようなイメージ を受けたので、それを大事にしながらアレンジを考えていきたいと思います。

コード進行の役割とは

音楽を構成する要素を漫画に例えるなら(唐突)、メロディがキャラクタ、伴奏がストーリーとすると、コード進行はネームのようなものだと思います。
楽器の演奏がどんだけキレッキレでかっこよくても、コード進行が雰囲気に合ってなかったり進んでる感じがしなかったりすると良いものにはならないと思います。

作業しやすいように整える

まずは VOCALOID3 の vsqx ファイルで頂いたので、SONAR で取り込んで作業がしやすいように MIDI ファイルに変換します。
Tamasub Lab 様のVsqxToMidi を使用させていただきました。VOCALOID エディタに入れるのは面倒だったので、ドラッグアンドドロップで一発。便利!!

(UG Job Plugin) VOCALOID3 Vsqx To Midi 変換ツール – Tamasub Lab

【収録フォルダー】 C:Program FilesVOCALOID3JobPlug-inTamasubPlugin_ToMidi 補足:「C:Program FilesVOCALOID3」フォルダーの下に上記の階層のフォルダーを 作成してファイルを収録して下さい。 【VOCALOID3 EDITER — 「Jobプラグインを管理」】 Zipを解凍し、次の1ファイルを「メニュー」-「ジョブ」-「Jobプラグインを管理」へ「追加」ボタンより登録します。 ○

8小節だけ切り出して、ボーカルを適当な音源に割り当てたのがこちらです。

また、楽譜も用意してみました。この曲は Gメジャーキー ですね。

ナツノトリ(ほのづき)

ナツノトリ(ほのづき)

コード進行を考える

実際はほのづきさんが考えてくれたコード進行があって、それも考慮しながらアレンジを加えているんですが、今回は一旦 「メロディだけある状態から考えたらどうなるか」 という前提でプロセスを書いてみましょう。

1. パターンから当てはめる

さて、コード進行を考えると言っても1小節1小節生み出していくわけではありません(そういう風に作ることも結構ありますがw)
僕の場合は パターン を組み合わせて当てはめて作ることが多いです。

コード進行は、その名の通り 連続性 があります。
Dm7 G7 CF G Em Am といったよくある進行は、コード1つ1つではなくその組み合わせに役割があります。メロディに合うように、そして それ以上に表現したい雰囲気に合うように、パズルのようにこれらを組み合わせてコード進行を作っていきます。

コード進行を作る上で誤解している人が多いように思うのが、必ずしもメロディすべてがコードの構成音に合っている必要はない ということです。
もちろんコードにバッチリ合っているに越したことはないのですが こまけぇこたぁいいんです。 例えロングトーンで入ってる音がコードの構成音に半音違いでぶつかってたりしても、耳で聞いておかしくなけりゃ大丈夫です。合わせたい雰囲気に合わせることが最も大事だと僕は考えます。

(正直なところを言うと几帳面で小心者なので進行から外れてる時は結構不安になります)

カノン進行

今回のような爽やかなメロディに合う進行といえば、いわゆる カノン進行 が真っ先に浮かびました。
カノン進行は、Gメジャーキーに合わせると G D Em Bm C G C D という8小節のパターンです。日本のJ-POPでよく使われる明るくて気持ちの良い進行ですね。
今回も8小節なので、まずはそれをそのままメロディに当ててみました。

だいたい雰囲気があってますね。このままで行ってもいいのですが、他のパターンもいろいろ考えてみましょう。

2. 表現したい雰囲気を考える

では、他のコード進行ではダメなんでしょうか?

例えばこんな進行ではどうでしょう。

グッと切なくなりましたね。 M7 コードには哀愁を感じさせる良い効果があります。

他にはこんなのはどうでしょう。

マイナーコードから下降して、その後じわじわと上がっていく進行です。暗くも切なくて良いですね。
しかし。

大事なことはどんな雰囲気を印象付けるかということ

前述した通り、例え音楽としてありだなと思っても、作りたい雰囲気を作ることが大事です。

今挙げた2つの進行は少し極端な例ですが、夏空のような爽やかな感じを表現するには合わないと思います。そのため最初のカノン進行を元に考えていくのが良いと思いました。

…が、先ほどの例は決して悪いというわけではありません。1曲の中で 同じメロディでも雰囲気を変えたい場合、例えば最後の大サビ前に使うことができます。大事に取っておきましょう(貧乏性)

3. 自分なりにアレンジしてみる

というわけで、僕がカノン進行を元にアレンジを加えてみたものがこちらです。

本来クラシックとかでは、2小節目→3小節目のように5度のメジャーコードから4度のメジャーコードに下がることは 禁則 とされているのですが、僕はやっぱりイメージ重視です。こうすることで爽やかさ(語彙が少ない…)が増すので、あえてこの進行を使っています。

4. スパイスを加えてみる

最後に、3.のコード進行に少し味付けを足してみることにしました。

味付きメジャーコードその1:add9

僕が大好きな add9 をこれでもかとつけてみました。 add9 は9度の音を付与したメジャーコード です。例えば Gadd9ソ・シ・レ・ラ という構成音になっています。僕はここから3度の音を抜いて ソ・レ・ラ で構成するのが大好きです。 ソ・レ・ソ・ラ・レ みたいな感じでピアノやギターでジャーーンと弾けば たちまち気分はブルースカイ (当社比)

味付きメジャーコードその2:sus4

8小節目で使われている Dsus4レ・ソ・ラ という構成音です。 Dレ・ファ#・ラ という構成音なのに対して、3度(ファ#)を4度(ソ)まで釣り上げている ため suspended 4th の略で sus4 と呼ばれています。少し不安定な音になるため、sus4から普通のメジャーコードに変化する(「解決する」と呼びます)と、とても進んでいる感じが出るので、このようにくり返しの最後に使うと次のループへのつながりが自然になります。

最後に

というわけで今回はコード進行について考えてみました。

他にもいろいろと考えて作っているんですが(4度進行とか)、記事がものすごい長さになりそうなのでこのくらいで。コード進行は、知識をパズルのように組み替えて、自分だけのしっくりくるものを考えるのが楽しいですね。

今回特に伝えたかったことは以下の2つでした。

  • 表現したい雰囲気を最優先にすること
  • 細かいことはそんなに気にしなくていいということ

次回は楽器選びについて考えてみようと思いますので、お楽しみに。

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